6月26日・27日の二日間、東京国際フォーラムにて開催された『JAPAN BLOCKCHAIN CONFERENCE -TOKYO Round 2018 – 』。
開催初日の26日、ブロックチェーンプラットフォームを提供するNEO(ネオ)のプレゼンテーションが行われた。
NEOとは
まず、NEOジャパン代表 葉山ミキ氏から、NEOについての説明と、日本での活動状況などについての紹介があった。

NEOジャパン代表 葉山ミキ氏
NEOはブロックチェーンのプラットフォームを提供する非営利団体で、拠点は中国である。
葉山氏は、NEO初の海外拠点のヘッドに任命され、日本でのコミュニティ形成などを行なっているという。
東京の有明には7月からデベロッパーの拠点がオープンし、ワークショップやミートアップが行われるほか、誰でも利用できるようスペースの解放もされるそうだ。
また、6月30日には、慶應大学三田キャンパスにてブロックチェーンに関するワークショップも開催されるなど、教育機関との連携も進んでいる様子がうかがえた。
NEOを利用したDApps:imusify
次に、NEOのプラットフォームを利用した分散型アプリケーション(DApps)の各開発チームからプレゼンテーションが行われた。

imusify CEO David Walters氏
imusify(アイミューシファイ)のプレゼンテーションには、自らもミュージシャンを目指していたというCEOのDavid氏と、プロジェクトマネージャー兼リーガルアドバイザーのLuka氏が登壇。
現在、ミュージシャンとリスナーをつなぐプラットフォームといえばSoundCloudのようなものが一般的だが、その利用のためには、ミュージシャンが運営会社に利用料を支払わなければならない。
imusifyは、ブロックチェーンを用いることでこういった利用料などの中間マージンをなくした、非中央集権型のプラットフォームである。

imusify Project Manager & Legal Advisor Luka Pregelj氏
このプラットフォームには、オーディオ機能のほかに、DJミックス機能やポッドキャスト、ストリーミング機能もあり、ミュージシャンはオリジナルのチャンネルを持つことが可能だ。
ミュージシャンもリスナーも、ユーザー登録をするとIMUトークンが付与され、それを利用し、直接コンテンツの視聴や売買、クラウドファンディングを行うことができる。
ユーザーは相互の投票システムにより評価され、高評価のユーザーには高い報酬を得る権利が与えられるという。
また、高度な著作権管理ツールによって、インターネット上で頻発しているコンテンツの無断使用を防ぎ、ミュージシャンの権利が保護されることも、ユーザーにとって非常に有益な点だ。
なお、imusifyのユーザーはファンやリスナーに限定されず、音楽プロデューサーなども通常のユーザーと同様に登録し利用することができるため、ミュージシャンとプロデューサー間の、仲介者を介さない純粋なマッチングも可能となる。
現在、imusifyのオフィシャルサイトからは、プラットフォームのデモ版を体験利用することができる。
NEOを利用したDApps:Switcheo
次にプレゼンテーションを行なったのは、NEOベースでは初となる分散型取引所(DEX)のSwitcheo(スウィッチオ)。
登壇したのは、CEOのIvan氏とCCOのJack氏だ。

Switcheo CEO Ivan Poon氏
特定の企業が管理する中央集権型取引所は、銀行と同じく利用者の資産を預かり、管理している。
そのため、一日の取引額の上限や、高い手数料が設けられていたり、ハッキングや不正利用によって資金が失われる可能性もある。
非中央集権の分散型取引所であるSwitcheoでは、資産はユーザー自身が自分のウォレットで管理し、取引手数料は格安で、しかも出金には手数料がかからないという。
また、分散型取引所でよく問題となる、ユーザーの取引操作ミスを防ぐため、UIが非常にわかりやすく、ユーザーフレンドリーな設計がなされている。

Switcheo COO Jack Yeu氏
現在、SwitcheoではNEP-5トークン(NEOベースのトークン)をICO終了後からすぐに取引することができるが、2018年7月末には、QRC20(QTUMベースのトークン)の取扱いが開始され、2018年の終わりには、Ethereumなどとのクロスチェーンの実装も予定されている。
将来的には、様々なブロックチェーンとのマルチチェーン取引を目指しているという。
このように、現状の問題を解決すべく、すでに多くのDAppsが開発されているNEO。
twitterのフォロワー数は30万人以上と、コミュニティの大きさも注目されている。
今回のプレゼンテーションでも、海外からの聴講者が多く見受けられた。
デベロッパー拠点のオープンや、イベント開催など、今後は日本コミュニティの拡大にもさらに期待が集まりそうだ。
取材・編集:Ayako