2019年1月15日、東京渋谷のhoops link tokyoにて、カウンティアバンク株式会社主催のイベント「仮想通貨 『大反省会』 〜未来への緊急会議〜」が開催された。
このイベントは、新サービス『CoinOn』のローンチに合わせたもので、ステージでは仮想通貨のスペシャリスト達が、仮想通貨の未来について語った。
仮想通貨レンディングサービス CoinOn
パネルディスカッションに先立ち、CoinOnについて、カウンティアバンク株式会社代表取締役の姥貝賢次氏がプレゼンテーションを行った。

カウンティアバンク株式会社代表取締役 姥貝賢次氏
CoinOnは、「仮想通貨をかしこく増やす」をコンセプトに、日本で初めて仮想通貨レンディングに特化したサービスだ。
貸出期間は1日単位で、出金申請はいつでも可能。これにより、いつでも簡単に手持ちのビットコインを貸し出して賃借料を受け取り、必要な際には簡単に返還を受けることができる。
業界のスペシャリスト達が語る「仮想通貨の未来」
そんなビットコインを含めた仮想通貨の未来についてのパネルディスカッションには、業界を牽引するエキスパート達が登壇した。

(写真手前から)姥貝氏、藤巻氏、堀氏、澤氏、森川氏
ファシリテーターを務めたのは、ジャーナリストで、『真相解説!仮想通貨ニュース!』のキャスターでもある堀潤氏。
まず、イベントのテーマでもある『2018年の振り返りと反省』として、それぞれが各分野の観点から反省点を述べた。
会社の立ち上げがちょうど2017年の12月だった、という株式会社GincoのCEO 森川夢佑斗氏は、2018年を「ジェットコースターのような年だった」と表現し、業界の課題として「管理・保護の面と、リテラシーの普及」を挙げた。
「ICOは素晴らしい仕組みだが、一時期はなんでもありの状況だった。投資の経験が無く、知識の浅い一般の人たちも参入できたが、投資や金融に関するリテラシー、投資家の保護がより求められている。」と語った。
このリテラシーという点について姥貝氏は、「仮想通貨は金融。昨年までは、この『金融である』という面を甘く身過ぎていたのではないか。バブルがはじけた状態でこそ、一歩踏み込んで意義を考えるべき。」と意見を述べた。
外資系IT企業の業務執行役員である澤円氏は、テクノロジーの観点から、「今の段階では、この業界は技術信用本位制で、リテラシーあった者勝ち。技術さえ手懐けてしまえば、足がつくことなく取引ができてしまう。そのため、ダークウェブなどで利用されてしまっている面もあるが、正しく手懐ければ、仮想通貨は非常に有効な手段。」だと言う。
資産の管理の面については、「信用できる会社だからという理由だけでなく、なぜここに預けたら安全なのか、ということをユーザーがきちんと理解しなければ、本当に安全とは言えない。」とも語った。
また、2018年は仮想通貨の税制についても大きな話題となったが、この点について、参議院議員で仮想通貨税制を変える会会長でもある藤巻健史氏は、「今の税制は国税庁にとっては論理的なのかもしれないが、彼らのロジックだけで考えていると、将来的な世界の担い手であるブロックチェーンや仮想通貨をつぶしてしまうことになる。」と現状に苦言を呈した。

向き合うべき課題
昨年の流出事件や、ICOなどの動きに対し、政府は様々な対応策を打ち出しているが、中でも特に解決が急がれる課題は何なのか。
澤氏は、仮想通貨が暗号資産へ改称されることに触れ、「仮想通貨を成立させている『暗号=技術』を理解することは、リテラシーを高め、仮想通貨が正しく普及していくために非常に大切だ。」と述べた。
また、藤巻氏は、「規制は少ないほうがいい」としながらも、「流出リスクに関してはしっかり規制をすべき」と、現在の業界の認識不足や管理体制の甘さを指摘。
この他にも、税制やSTOなどについて質疑応答がなされるなど、非常に内容の濃いパネルディスカッションとなった。
まだまだ多くの課題が残る業界だが、『仮想通貨の未来』については、
「正しく発展していくことで、日本が金融大国に返り咲ける可能性がある。」(森川氏)
「テクノロジーは人をハッピーにするためのもの。仮想通貨もブロックチェーンも、そのために使われていくべき。」(澤氏)
「今の税制を変えていくことが、この業界の発展につながる。」(藤巻氏)
と、それぞれの見解を語った。
様々な立場から仮想通貨・ブロックチェーンに関わる第一人者たちが、活発なディスカッションを繰り広げた今回のイベント。
終了後の懇親会にはゲスト達も参加し、非常に盛り上がりを見せていた。
「ITバブル後の焼け野原に生まれたFacebookやGoogleと同じく、激動のなかで生まれた仮想通貨は存在意義を問われ続けている」と、姥貝氏は語る。
2019年は、その存在意義がどのように変化し、発展していくのだろうか。
取材・編集:Ayako