【JBC 2019YOKOHAMAレポート】日本IBM 高田 充康氏

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1月30日・31日の2日間、パシフィコ横浜にて開催されたJAPAN BLOCKCHAIN CONFERENCE -YOKOHAMA Round 2019 –

開催初日である30日のAステージでは、日本IBMのブロックチェーン・ソリューションズ事業部長である高田充康氏によるスピーチが行われた。

ブロックチェーンを活用することのメリット

高田氏は「去年の中盤くらいからブロックチェーンを本格的に利用する企業が増加している。」と語り、仮想通貨以外の本格的な利用が進んできていることを強調して述べた。

IBMがブロックチェーンについて取り組み始めた2015年ころはまだ『フィンテック=ブロックチェーン』というイメージが強く、金融分野での活用が主要だったという。しかし一昨年頃から金融分野以外での活用が検討され、流通や、食品管理など様々なジャンルでの実証実験が多く行われるようになったそうだ。
現在は7~8割の企業がブロックチェーン技術を金融以外の分野での活用することを進めており、ブロックチェーン技術は多くの分野にまたがって注目され始めている。

日本IBM 高田 充康氏

では実際にどんな企業や分野がブロックチェーンを使うのに最適なのか。

高田氏はブロックチェーンの特性として、「一度情報が書き込まれると改ざんされることなく、記録されていく共有台帳としての役割」「スマートコントラクト」の2つを挙げたうえで、1社でこのブロックチェーン技術を活用するのではなく、複数の参加者がブロックチェーンのネットワークに参加して、情報の共有を行うことが重要であると語る。

そうすることで、ブロックチェーンは仮想通貨を動かすための技術としてだけではなく、ビジネスにおけるプロセスが効率化されたり、新しい価値が生み出されていくと考えているようだ。

また、企業としてブロックチェーンを活用する際には、現状仮想通貨で多く利用されているパブリック型ではなく、プライベート型が多い。
IBMではHyperledger(ハイパーレジャー)というプロジェクトの中で、企業向けのブロックチェーンの開発を行っているそうだ。

ブロックチェーンの活用例

ブロックチェーンについてはまだまだ実証実験が多いのは事実であるが、ネットワークの開発に対して投資してきたものを回収する為のサービス提供の段階に入っている企業も多く存在している。

高田氏は、ブロックチェーンの活用事例として国際貿易をあげ、下記のように述べた。

例えばチューリップの花の球根を1つ、アフリカからヨーロッパへ流すだけでも30社の企業が間に滞在しています。
そして100人以上の従業員が流通のための作業を行い、200以上の書類のやり取りが発生しているのです。
多くの企業、人、そして書類がかかわり、非常に複雑で面倒であるのが国際貿易の現状です。

これをブロックチェーンを活用することで、情報の共有が瞬時に行えるようになり、書類のやり取りも電子化することが可能となる。
これらの点から見ても、貿易の分野は非常にブロックチェーンの活用に向いているのではないかと同氏は語る。

実際に海運輸送の最大手であるマースク社が中心となって構築されているブロックチェーンのネットワークがある。
さらにこのネットワークは既に実用化されており、関税や陸運業者など100社以上が参加し、プラットフォーム上では1日に100万件の貿易に関するイベントを処理しているとのこと。

また、在庫管理などの点から見ても透明性が非常に高い為、コストの削減効果も出てきている。

その他の事例として挙げられたのは、食の安全を目指したサプライチェーンの活用。
こちらもウォルマートが中心となって、プラットフォームの構築が進められているそうだ。

例えば食中毒などの問題が起きた際の生産地や流通ルートから原因を探し出すことは難しく、判明するまでの間に二次被害が起こってしまう事例は多くある。
しかしここにブロックチェーンを活用することで、今まで7日間かかっていた原因究明を数秒で完了させることが可能となり、被害の拡大を防ぐことが出来る。

今後の課題と技術の普及の為に

その一方でブロックチェーンの単独利用には限界があるのでは、とも語る高田氏。

ブロックチェーンはデジタル上に書き込まれた情報の改ざんは難しいが、物流での物のすり替えには対応できていないのが現状なので、そこにどのように対応していくかが次の課題であると述べた。

高田氏はこれからのブロックチェーンの導入は「出来上がったプラットフォームを活用するか」「1からプラットフォームを構築するか」のどちらかであると述べた。

多くの企業がブロックチェーンに興味を持っている今だからこそ、特性をしっかりと理解したうえで実際に触れ、そこからどのように活用するのかを考えることが大切だという。
また、最初は小さなネットワークからスタートさせ、細かくフィードバックを得ながら発展させていくことで、ブロックチェーンは正しく活用され、普及していくのではないか、と自身の見解を示した。

 
数ある企業の中でも、特にブロックチェーンに対して積極的に取り組みを行っているIBM。
実際にブロックチェーンを活用している企業が語る業界の現状と課題についてのスピーチを聞こうと、多くの聴講者が見受けられた。

特に今回高田氏が事例として語った貿易と食の安全は、日本にとっても身近なものであり、そういった場でブロックチェーンが活躍しているというのは、私達にとってもブロックチェーンを身近に感じることが出来るきっかけとなっていくのではないのだろうか。

 取材・編集:Rie、Hiro