【プロジェクトインタビュー】Trias

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6月1日(土)、BINARYSTARにて、Trias Japan株式会社の法人設立イベントが開催された。

Trias Japanは、ケイマン諸島に拠点を置く次世代ブロックチェーンプロジェクトTrias(トリアス)の日本法人。

イベントに先立ち、TriasのCEO RUAN Anbang氏と、CTO WEI Ming氏を迎え、メディア合同インタビューが行われた。

Triasとは

中国では北京大学と共同の研究室を設け、すでに複数の運用実績をもつTrias。プロジェクトチームは、40名のエンジニアを含む50名で構成されている。

プロジェクトの概要は以下の通り。

Triasはサーバーや個人向けパソコン、モバイルデバイス、IoTデバイスなどのアプリケーション全てに対応した、新世代のマルチチェーンプラットフォームであり、開発フレームワークであり、コラボレーションエコシステムです。

Triasは汎用アプリに対応する新しいパブリックチェーンシステムを再定義し、分散型SaaS(DSaaS)のプラットフォームを構築。DSaaSは企業データの漏洩、改ざん、悪用を効果的に防止でき企業のコアデータと主要サービスの安全性・信頼性を実現します。

プレスリリースより)

ともに北京大学でトラステッド・コンピューティングを学んだという、RUAN氏とWEI氏。

ブロックチェーンをよりセキュリティの高いものにしたい、と語る彼らに、Triasの特徴やユースケースなどについて伺った。

CEO  RUAN Anbang氏(左) CTO  WEI Ming氏(右)

Triasの特徴

ラテン語で「3」を意味するという名前の通り、Triasは、『Leviatom』『Prometh』『MagCarta』という3つのコンポーネントで成り立っている。

『Leviatom』はベースとなるプラットフォームで、そこで稼働するアプリケーションは『Prometh』で生成される。
そして、生成されたアプリケーションは、スマートコントラクトが採用された『MagCarta』によって信頼が担保され、他のプラットフォームにおけるアプリケーションの稼働が可能となる。

「Triasは大企業向けの『分散型SaaS(DSaaS)』の提供を前提としています。例えば、ブロックチェーンベースのCRM管理のような巨大なアプリケーションで、いわゆる既存ブロックチェーンのDAppsとは違うレベルのものです。」とRUAN氏は語る。

そのほか、開発されたアプリケーションは、Leviatom上で販売することができるほか、企業はMagCarta上でトークンを発行し、資金調達をすることも可能になるという。
そして、エンドユーザーは、自分の利用しているアプリケーションが信頼できるものかどうかをブロックチェーン上で確認することができる。

また、Triasの発行するトークン(TRYトークン)については、「Triasのシステムが、すべてTRYトークンで成り立つこと、つまり、トークン・エコノミクスを成立させることが究極のゴールです。」と言うRUAN氏。

今年末までにはメインネットが公開される予定で、その後、トークンの実際の流れが見えるようになるそうだ。

企業への導入のために

企業向けのプロジェクトとはいえ、まだブロックチェーンの必要性を認識していない企業も多く存在する。
そのなかで、企業に対しブロックチェーンの特性や必要性についての教育などはせず、過去のどのようなソフトよりも信用できるということを強調して提案していくという。

当然ながら、企業の保有データにおけるセキュリティの確保は最重要課目だ。特に、情報の加工や提供に関しては「事前に交わした約束が守られていることの証明」が非常に難しいとされている。
しかし、ブロックチェーンを活用することで、こういった証明が可能となる。

また、日本展開を決めた理由として、「信頼を担保するマーケットは市場規模が大きく、多くのニーズがあること」「日本では特にビジネスにおいて信頼というものが非常に重要視されていること」を挙げ、「Triasの技術を活用することで、こういった信頼を得るために必要なコストを削減することができます。」と述べたRUAN氏。

日本でのエコシステム拡大のための施策としては、まずは大企業への導入を優先的に進め、十分なアプリケーションやユースケースが出来上がってから一般ユーザーへの普及を進めるという。

RUAN氏は、「これまでの多くのブロックチェーン関連プロジェクトは、大きなヴィジョンのもとに資金調達を行ってからサービスの開発を進めてきました。しかしTriasは、確実にサービスを作り上げてから周知させていきます。」と、今後の展開について語ってくれた。

Trusted Execution Environments(TEE)とは

昨今、技術者や有識者の間で交わされる議論のなかに、『スケーラビリティのトリレンマ』がある。
RUAN氏は、このトリレンマを解決する方法は、新しい技術を組み込むことだとし、その1つにこの『Trusted Execution Environments(TEE)』を挙げた。

TEEとは、ハードウェアに暗号化チップを搭載することでセキュリティ能力を高める技術。
この、ブロックチェーンとは異なる分野の技術を組み込むことで、『スケーラビリティ』『分散化』『セキュリティ』のすべてを両立させることができ、これにより、クライアントの抱えるクリティカルな問題を解決することができるという。

ブロックチェーン技術と、他の分野の技術を融合させることで新しい可能性を生み出すというこの流れは、まさに『次世代ブロックチェーンプロジェクト』と言えるだろう。

中国でのユースケースについて

Triasは、中国ではすでに16ものユーザーシナリオを持っている。そのうちの1つが、100以上の電力会社を抱える省との業務提携だ。

この省では、電力のサプライチェーン上で生まれるデータをブロックチェーン上に組み込み、そこから吸い上げた純粋なデータを利用することで、それぞれの電力会社ごとの市場価値を算出しているそうだ。
この市場価値、つまり信用情報を銀行に提出することで、銀行はそれをもとに有益な企業に投資することができ、企業側は融資を受けやすくなる。
また、行政もこれらの情報を得ることで、この省での産業について正しく把握することができる。

そして、このユースケースからDSaaSを開発し、スピンオフさせることで、今後様々な国、そして産業分野や企業でも実装することが可能になるという。

「特に日本は、規制が整っていて可能性に満ちています。Triasのようなビジネスモデルにおいては、きちんと規制が整っていることが非常に大切です。すでに日本国内の大学や、大手データサービス企業への提案も進んできています。」と日本市場への期待をうかがわせた。

 

ブロックチェーンの実用性を高め、汎用化を目指すTrias。
最後にRUAN氏は、ブロックチェーンの未来について、「いまや、インターネットの仕組みが全くわからない人でも、当たり前にインターネットを利用しています。今後、ブロックチェーンもそうなっていくでしょう。」と語ってくれた。

ブロックチェーン導入に関心を寄せる企業が増えつつある日本国内で、Triasのプロジェクトがどう発展していくのか。

今後のTrias Japanの動きに注目したい。

 

<当日のイベントの様子はこちらから>
【事後リリース】Trias Japan株式会社が法人設立の記念イベントを開催

 

取材・編集:Aya