【レポート】ブロックチェーン・カンファレンス2019 UNBLOCK TOKYO <前編>

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2019年10月5日、東京銀座のBINARYSTARにて、ブロックチェーン・カンファレンス2019 【UNBLOCK TOKYO】が開催された。

UNBLOCK TOKYOには、海外の有力ブロックチェーンプロジェクトのリーダー達が集結した。

ブロックチェーンが重要な理由は大きく4つ

イベント開始の挨拶として、BINARYSTAR株式会社の赤羽雄二氏が登壇し、ブロックチェーンは産業および企業を根本から変えるものであると述べた。
現在すでにありとあらゆる業種でブロックチェーンの実証実験が始まっており、これから実際にプロジェクトとしてそれぞれが動き始める時であり非常に重要なタイミングとの見方を示した。

続いて登壇したのはNEO(ネオ)のジョン・ワン氏。NEOのプロジェクトは2014年にAntshares(アントシェアーズ)として開始され、2017年に名前がNEOに変更された。メインのローンチからは既に3年が経過している。
NEOは世界中から注目を集めているプロジェクトであり、コミュニティメンバーは50万人にのぼり、アドレスの数は200万に到達している。
ジョン氏は、ブロックチェーンはインターネットの一部であり、ブロックチェーンが重要な理由として、「アセットのデジタル化」「セキュリティ・リライアビリティ」「プライバシー」「分散化」の4点を挙げた。

NEOによるプロジェクトのサポートとしては、NEO EcoBoostに関する話題が挙げられた。NEO EcoBoostには1億ドルの資金があり、プロジェクトを長期的に継続させるための仕組みがある。
また、支援するプロジェクトに対しては、技術面、マーケティング面、シードユーザー獲得などにおけるサポートを行うという。現在、Ecoboostのパートナー企業数は、取引所、ウォレット、dAppsなどで合わせて40を超えているとのことだ。

なぜエンタープライズ向けイーサリアムが重要か

続いて、EEA(イーサリアム・エンタープライズ・アライアンス)の石黒一明氏が、なぜエンタープライズ向けのイーサリアムが重要かについて語った。

石黒氏はまず、キャッシュレス決済サービスがガラパゴス化していることについて触れ、決済サービスのカオスマップを紹介した。現在数多くのサービスが存在しているが、本当はこれらが一つに統一される、もしくはAmazon Goのように自動で決済ができるとユーザー側としては嬉しいと同氏は語った。

現在EEAには400以上の企業が参加しているとのことだ。
イーサリアムがベースとして使われているネットワークシステムとしては、JPモルガンが開発する独自ブロックチェーンネットワークQuorum(クオラム)やPEGASYS(ペガシス)、Hyperledger Besu(ハイパーレジャー・ベイス)、アマゾンのエンタープライズ向けの簡易ツールAmazon Managed Blockchainなどが紹介された。
 
また、イーサリアムをベースとしたユースケースには多くの事例があり、その中の一つとしてシリアの難民キャンプでの事例が取り上げられた。
この事例では、難民が多く存在するシリアに物資を送る代わりに、ブロックチェーンを使った送金を実施し、それがローカルのスーパーマーケットの経済圏活性化にも繋がった。以前より全体の98%のコスト削減に成功したとのことで、難民支援の形がこれから大きく変化する可能性があるようだ。

有名プロジェクトも登壇

イベントには、Ontology(オントロジー)・OmiseGo(オミセゴー)といった有名プロジェクトのメンバーも登壇した。

Ontologyのアンディー・ジー氏は、世界に革命を起こす立場でありながら、現状としてはどう業界に生き残るかも考えなければいけないと述べた。
現在、OntologyのONTを含め、ETH、EOSなど多くの暗号通貨の価格が1-2年前と比較すると下がっており、それによりブロックチェーンを否定するような声も少なくなく、誤った情報も多く流れている。

Ontologyのアンディー・ジー氏

そのような中でアンディー氏は、他の業界から学べることとして、業界における最初の会社はなかなか生き残らず、本当の意味での勝ち組はまだ現れていないのかもしれないと語った。
また、どうやってレベニューを作り出して生き残るかについては、ビジネスとして確固たるものを考える必要があり、カスタマーに何を提供できるかについて真剣に考えていくべきだとも述べた。
  
Ontologyは現在、ネットワークとして統合された取り組みをやりたいと考えており、トップ50のプロジェクトともパートナーシップを結んで、協働していこうと考えている。
また、IEOで利益を出しているトップ25のプロジェクトのうちの5つに出資しているとのことだ。
アンディー氏はこの日行われたパネルディスカッションの中で、オントロジーの目的は、現実とデジタルエコノミーの橋をつくることにあり、そのためにはさまざまなチェーンが必要であり、まずはハイレベルなプロコトルが必要になるとの見解を示した。

また、OmiseGoのポン・チーチェラン氏は、現状のプロセスとしては、製品化を目指している段階であると語った。

OmiseGoは、Paypal(ペイパル)のような決済の仕組みから始まったと語り、プロジェクトを進めていく中で既存の決済にのっとった仕組みが必要だということに気づいたという。
OmiseGoは、Plasma(プラズマ)を用いることで、手数料削減やトランザクション速度の向上をしようとしている。Plasmaは、毎秒4000トランザクションを処理でき、手数料はイーサリアムのトランザクションフィーの10分の1である。Plasmaは、妥協せずにスケーリングすることをモットーに開発がされているとも同氏は語った。
 
OmiseGoは、あらゆるデジタルアセットを使えるようにするためのエコシステムを提供するために、今後も開発を続けていく。

記事後編に続く

 取材・編集:Hiro・Rie